島根県雲南市立木次小学校で2025年12月5日、5年生26人がサバの三枚おろしと郷土料理「木次の焼きサバ寿司」づくりに挑戦する授業が行われました。2時間のプログラムで、児童は魚のさばき方から試食まで一連の工程を体験しました。
授業は、日本の海の食文化を次世代へつなぐ「日本さばける塾 in しまね」として実施されたものです。主催は一般社団法人海のごちそう推進機構と一般社団法人海と日本プロジェクトinしまねで、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われました。講師は、地元の割烹・仕出し店「田丸屋」の藤原智三代表取締役が務めました。
冒頭では、担任教諭から島根県のサバ漁業と木次の焼きサバ文化について説明がありました。サバの漁獲量が全国上位の島根県では、昔からサバ漁が盛んで、木次町周辺は日本海の生魚を届けられる「ぎりぎりの地点」だったとされています。腐りやすいサバを山間部へ運ぶために丸ごと焼いて保存性を高めたことが、焼きサバや焼きサバ寿司の始まりと伝えられています。
児童はまず、サバの鮮度を見分ける「目利き」のポイントを学びました。目の透明感、エラの色、身の張り具合などを一匹ずつ確認した後、藤原さんの実演を見ながら三枚おろしに挑戦しました。中骨に身が残ってしまったり、骨抜きの際に身が崩れたりと苦戦しつつも、全員が自力でさばき終えました。その後、家庭でも再現しやすい方法として、三枚におろしたサバをフライパンで焼き、細かくほぐした身を酢飯と混ぜ合わせました。
具材には、この季節の定番としてシイタケの煮しめ、油揚げ、かまぼこを使用し、仕上げに錦糸卵をのせて焼きサバ寿司が完成しました。春には山菜やタケノコを混ぜるなど、季節ごとに食材を変えるのが特徴だと説明されました。試食では、予定よりもサバの身を多く混ぜ込んだ「具沢山」の仕上がりとなり、児童からは「最高」「また作ってみたい」といった感想が相次ぎました。
藤原さんは「三枚おろしには苦戦していたが、想像以上の出来栄えだった。焼きサバ寿司は木次のソウルフード。ぜひ次の世代にも伝えてほしい」と語りました。主催団体は、今回のような体験を通じて、海の環境変化や資源の大切さを自分ごととして考える子どもを増やしたい考えです。今後も島根県内外で同様のプログラムを続け、地域の郷土料理と海の課題を結びつけた食育活動の広がりが注目されます。
source: PR TIMES
