国境なき医師団(MSF)は2026年1月3日、イスラエル政府がMSFを含む国際NGOに「登録を拒否する」と脅しているとして、ガザ地区とヨルダン川西岸地区での人道援助を妨げる行為だと非難し、民間人への医療提供に深刻な影響が出る恐れがあると訴えました。MSFによると同団体は現在、ガザの病床の5分の1を支え、分娩の3人に1人を介助しており、活動が止まれば医療現場に「甚大な空白」が生じるとしています。MSFは、援助を政策や集団的懲罰の道具として扱うことは不当で、国際人道法に基づく義務に反すると主張しました。イスラエル当局の発表内容についてもMSFは「断固として否定」し、軍事活動に関与した人物を故意に雇用することは組織の価値観と倫理に反しあり得ないと説明しています。一方で、登録要件としてパレスチナ人スタッフの個人情報提出を求められる点には安全上の懸念があるとし、これまでMSFスタッフ15人がイスラエル軍により殺害された状況下で名簿提出を活動条件とするのは越権だと指摘しました。加えて、提出した機微情報がどのように使用・保管・共有されるのか明確な説明がない点も問題視しています。現地は紛争激化後3度目の冬を迎え、豪雨や強風で仮設住居の破壊・浸水が起きているといい、MSFはテントや防水シート、仮設住宅などの搬入が引き続き阻止されているとも述べました。MSFは今後もイスラエル当局との対話を求めつつ、人道援助は「恩恵」ではなく国際法上の「義務」だとして、援助の削減ではなく拡充が必要だという立場を示しており、登録運用を巡る当局対応が支援体制の継続性を左右する見通しです。
