月経痛(生理痛)を腹部へのEMS(筋電気刺激)で疑似体験できる小型装置「ピリオノイド」を使った研修が、2025年12月末までに337の企業・団体で実施され、21,226人が体験しました。教育機関や自治体の参加者計440人に対する調査では、94%が「生理痛に関する知識が深まった」と回答しています。
装置の基礎となる仕組みは、奈良女子大学の研究グループが検討したもので、子宮筋の過剰収縮で起きる月経時の腹痛を、腹直筋の収縮として再現する狙いです。安全性を踏まえ家庭用EMSの自主基準に沿う弱い刺激でも、強い痛みとして知覚される刺激方法を検討しました。奈良女子大学は甲南大学と共同で女子学生33人で検証し、重度症状の再現には課題が残る一方、平均的なつらさは実際の月経痛と同程度と示されました。
社会実装では大阪ヒートクールが研究成果をもとに小型化し、2023年から研修を展開、2024年以降はリンケージが中心となって実施しています。研修はEMS体験に加え、月経の仕組みや症状の多様性、対処法、他者の痛みを考えるワークなどで構成され、体験には同意書(未成年は保護者同意)を求め、体調不良など懸念がある場合は控える運用です。教育機関・自治体調査では「休憩室の必要性や使用についての意識が変化した」が88.8%に達し、研修後の例として休憩室設置、トイレへのナプキン設置、半休拡充や生理休暇導入など制度見直しが挙がっています。今後は、痛みの個人差を踏まえたより適切な再現方法の検討とともに、職場・学校の具体的な環境整備に結びつく取り組みが継続するかが焦点です。
