国境なき医師団(MSF)は2月2日、パレスチナ(ガザ地区、ヨルダン川西岸地区)で活動するために求められているスタッフ個人情報について、現状ではイスラエル当局へ名簿を提出しない方針を決めたと明らかにしました。数カ月に及ぶ協議でも安全と独立性の具体的保証が得られないという判断です。
イスラエル当局は2025年3月、登録を希望する団体にスタッフ個人情報の提出を求める方針を示し、同年12月30日には登録失効と活動停止の期限を「60日以内」としました。MSFは1月23日、例外的措置として限定的な氏名リスト共有の用意を伝えたものの、本人の明確な同意がない限り情報は出さない前提でした。
MSFは、情報の用途限定、スタッフを危険にさらさないこと、スタッフや医療・人道物資の管理権限をMSFが保持すること、中傷や安全を脅かす発信の停止などを求めましたが合意に至らず、今回は「いかなるスタッフ情報も提供しない」と結論づけました。医療・人道援助従事者は2023年10月以降に1700人が殺害され、MSFスタッフも15人が犠牲になったとしています。
一方でMSFは、2025年にガザと西岸で80万件の診療を行い、分娩介助は「母親3人に1人」、病床は「5分の1」を支えたと説明しました。今後も活動継続に向けてイスラエル当局との対話を続けるとし、現地の人道状況を踏まえた対応が焦点になります。
