UMAMI Bioworks(シンガポール)は、魚類細胞が栄養素や脂質、藻類オイルをどう代謝するかを実験前にシミュレーションして予測できるよう、独自AIプラットフォーム「ALKEMYST™」を大幅にアップグレードしました。サーモンやマグロ、ブリなどでは飼料が生産コストの最大70%を占める例があり、配合検討の手戻り削減が焦点です。
養殖飼料は魚油の供給制約や成分のばらつき、価格変動の影響を受けやすく、代替のオメガ3脂肪酸源として藻類オイルが注目されています。一方で、魚種や成長段階、環境条件によって効果が変わり、脂質代謝や栄養吸収、免疫活性、ストレス応答といった生物プロセスを事前に可視化しにくいことが、試行錯誤を増やす要因でした。
同社は魚種別・条件別の細胞レベルの挙動を再現する「バーチャル・マリンセル(仮想海洋細胞)」を掲げ、藻類由来脂質の細胞内代謝をより詳細に扱えるようにしたとしています。数十種類の配合案を数時間以内にデジタル上で評価し、実際の給餌試験は有望候補に絞り込むことで、試験効率化やコスト削減、動物使用の最小化につなげる狙いです。プロダクト・戦略マネージャーの本田二仲氏は、細胞レベルで飼料生物学を計算し「実験前に魚の反応を予測できる」と述べています。
今後は、養殖事業者や飼料メーカーとの連携を通じ、藻類オイルを含む脂質設計の最適化を予測型に移行できるかが普及の鍵となり、実試験での再現性や導入コストとのバランスが検証点になりそうです。
