岡山大学の坂本亘教授らは、高温などのストレス下でも植物が光合成を維持する仕組みとして、チラコイド膜の形成・修復に関わるVIPP1が、葉緑体熱ショックタンパク質cpHsc70-1(HSP70ファミリー)と相互作用し、VIPP1集合体の解体と再編成を制御することを明らかにしました。成果はPNAS Nexus(第5巻1号)に掲載され、DOIは10.1093/pnasnexus/pgaf393です。
光合成は葉緑体内のチラコイド膜上で進みますが、環境ストレスでは光合成タンパク質だけでなく膜自体も損傷し、修復と再構成が必要になります。これまで膜構造をどう保ち直すかの分子基盤は十分に整理されていませんでした。
研究では、cpHsc70-1がシャペロン(タンパク質などの構造維持を助ける分子)として働き、VIPP1のオリゴマー集合を解体・再編成することで、チラコイド膜を動的に再編成し、高温ストレス下でも膜構造と光合成機能の維持につながることを示しました。岡山大学は2026年1月29日に情報を公開しています。
今回の知見は、植物の環境適応性を高める光合成制御の新たな分子基盤を示すもので、高温条件での光合成維持メカニズムの理解を進めるとみられます。今後は、この制御系を他のストレス条件や作物種へ広げて検証することで、耐暑性向上に向けた応用研究の加速が期待されます。
【関連リンク】
詳しい研究内容(PDF):https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20260129-1.pdf
大学リリースページ:https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1489.html
岡山大学 資源植物科学研究所(IPSR):https://www.rib.okayama-u.ac.jp
光環境適応研究グループ:https://www.rib.okayama-u.ac.jp/saka
