老化を遅らせる目的で、糖尿病治療薬や臓器移植後に使う免疫抑制薬、肥満治療薬など「既存薬」を健康な人が服用する動きが海外中心に広がっています。一方、日本の医療制度では老化は病気に分類されず、「老化を治療する薬」は承認されていません。服用の実態は、糖尿病・肥満治療としては世界で1億人以上が薬を使うとされる一方、抗老化のみを主目的にした人数は公式統計がなく、推計にとどまります。抗老化研究の主流は、体内に蓄積するとされる老化細胞を除去する「セノリティクス」と、代謝センサーに介入して修復機能を促す方法の2系統です。注目薬としては、糖尿病薬の一部が「比較的安価で入手しやすい」とされ、使用者が数百万人〜1,000万人規模との見立てもありますが、健康な人での有効性や長期安全性は確立していません。免疫抑制薬は寿命延長に関する研究が比較的多いとされる一方、副作用リスクが高く使用者は数万人程度との推定です。肥満治療薬は2025年時点で市場規模が数兆円規模とされ、服用者は数千万人規模に広がりましたが、老化防止だけを目的にした利用は少ないとみられます。期待の裏で、筋肉合成の抑制による筋力低下やビタミン不足など予期せぬ副作用が指摘され、適応外使用に近い形での自己判断服用には注意が必要です。こうした中、株式会社seeDNA(東京都足立区)は2026年1月から「長寿の傾向」を知る遺伝子検査の提供を始めました。今後は臨床研究の進展とともに、老化を医療として扱う制度設計や、健康な人に対する安全性評価の枠組み整備が焦点になりそうです。

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