自動車用ピストンメーカーのアート金属工業株式会社(長野県上田市)が、地中熱ヒートポンプなどを活用したコーヒー栽培の取り組みで、環境省主催の「気候変動アクション環境大臣表彰」を初受賞しました。令和7年度の開発・製品化部門「緩和+適応分野」では唯一の受賞となり、12月5日に表彰式が行われました。

同社は、電気自動車の普及によるピストン需要の減少と、気温上昇で地元特産のりんごが不作や品質低下に直面する中、従業員公募の新事業として国産コーヒー栽培に着手しました。本社の遊休地にビニールハウスを設置し、寒冷地でも育つコーヒー苗を栽培。自社のセンシングやデータ解析技術を応用し、ハウス内の温度を自動制御する地中熱ヒートポンプを導入することで、化石燃料ボイラーと比べてCO2排出量を大幅に削減し、省力化も進めたとしています。2024年度には約8kgのコーヒーの実を収穫しており、今後は年間20kg以上の安定収穫を目標に掲げています。

この取り組みは、温室効果ガス削減という「緩和」と、新たな気候条件を活かした産業転換という「適応」の両面を兼ね備えた点が評価されました。環境省は評価コメントで、車のピストン製造から農業用センサー開発やコーヒー栽培へと事業を広げた点や、地中熱利用によるコーヒー栽培のユニークさを指摘しています。今後は「上田産コーヒー」のブランド化や、地域農業への技術フィードバックを通じて、農業人口減少と高齢化への対策にもつなげられるかが注目されます。

【プロジェクト関連情報】

アート金属工業株式会社 事業紹介

長野県上田市の遊休地を活用したビニールハウス型コーヒー栽培

地中熱ヒートポンプと自動制御システムによるCO2排出量削減

2024年度コーヒー収穫量:約8kg/今後の目標:年間20kg以上

source: PR TIMES

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