キュエル株式会社は2026年3月27日、超伝導量子ビット制御用の量子ビット制御装置「QuEL-1 SE」で、温度変化に起因するマイクロ波信号の振幅・位相ドリフトを抑えた長時間安定動作を実験で示した。3台の装置からの合計15チャネルを1台のADCで24時間同時測定し、振幅の標準偏差0.09〜0.22%(平均0.15%)、位相の標準偏差0.35〜0.44度(平均0.39度)だった。
開発はキュエル(東京都八王子市)と大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)などの研究グループが実施した。温度制御をしない場合と比べ、振幅・位相の変動をいずれも1/2以下に抑制したという。量子ゲートはマイクロ波の振幅と位相を正確に出すほど精度が上がる一方、PLL(位相同期回路)や増幅器、ミキサなどアナログ回路の温度変化で信号がずれやすく、長時間量子計算や量子誤り訂正で誤差要因になる。
手法として、各アナログデバイスにサーミスタで温度を検出しヒーターで補正する個別のフィードバック温度制御を導入した。測定結果からの推定では、単一量子ビットゲートのエラーへの寄与は振幅誤差で約2×10⁻⁶、位相誤差で約2×10⁻⁵と見積もった。研究成果はReview of Scientific Instruments誌に2026年3月27日(日本時間)付で掲載された。
今後は、大規模な超伝導量子コンピュータを長時間連続運転する際のマイクロ波制御の基盤技術として、量子誤り訂正を含む実運用条件での有効性検証や、より多チャネルへの拡張が焦点となる。
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詳細URL https://quel-inc.com/ja/2026/03/27/article_20260327
DOI https://doi.org/10.1063/5.0311173
