低消費電力の電源ICを手がけるトレックス・セミコンダクター株式会社(東京都中央区)は、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する「2025年“超”モノづくり部品大賞」で、降圧同期整流型DC/DCコンバータ「XC9704/XC9705シリーズ」が電気・電子部品賞を受賞したと明らかにしました。本製品は最大入力電圧36V、出力電流600mAの仕様を1パッケージに収めた電源ICです。

産業機器や医療機器、通信機器、車載機器、民生機器では、センサーや通信モジュールの搭載が進み、AI活用も相まって消費電力の増加が顕著になっています。一方で外形サイズを大きくできない制約があり、限られた基板スペースで高効率に電力を供給できる小型電源ICの需要が急速に拡大しています。

従来、このクラス(最大36V入力・600mA出力)では制御が簡単で低コストなリニアレギュレータ(LDO)が一般的でしたが、入出力電圧差が大きい条件では電力変換効率が低く、発熱損失が大きくなる課題がありました。そのため放熱確保のためにパッケージ大型化が避けられず、小型機器への実装上の制約となっていました。

XC9704/XC9705シリーズはスイッチング方式の同期整流型DC/DCコンバータを採用し、高耐圧36V対応と600mA出力を維持しながら高効率化と省スペース化を図った点が評価された形です。電源立ち上げ時のシーケンス制御機能や、入出力電位差が小さい場合でも安定した出力を保つ制御方式も特徴とされています。

今後は、IoT向けセンサー端末や通信モジュール、車載周辺機器など、電力効率と小型化が同時に求められる分野で同シリーズの採用拡大が見込まれます。一方で、他社も高効率・小型電源ICの開発を強化しており、同社製品がどこまで標準部品として浸透するかが焦点となります。

【製品情報】

XC9704/XC9705シリーズ製品情報ページ

https://www.torex.co.jp/news/topics/20251031_4841

source: PR TIMES

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