自動車向け部品大手マレリは、車載テレマティクス向けに「手頃な5G RedCap(Reduced Capability)」技術を導入し、4G比で約50%高いデータ速度と約2.5倍低い遅延を実現しつつ、価格水準は4Gと同程度に抑える方針を明らかにしました。2026年初頭に製品サンプル提供を始め、2028年に世界各地で量産開始を目指します。

5G RedCapは、既にウェアラブル端末などで使われる簡素化版5Gで、帯域幅を20MHz未満に抑えつつ、最大約220Mbpsのデータレートと約20ミリ秒の遅延を確保します。従来型5G(最大2Gbps、遅延1ミリ秒)より性能を絞る一方で、ハードウェア構成を簡略化し、コストと電力消費を中程度に抑えるのが特徴です。4G Cat.4(最大150Mbps、遅延約50ミリ秒)と比べて通信性能を底上げしながら、価格帯を近づける狙いがあります。

同社の車載向けRedCapは、4Gと5Gネットワークを切れ目なく切り替えられるほか、次世代Wi‑FiやBluetooth、デュアル周波数対応GNSS(衛星測位)も統合。メディアストリーミングやリアルタイムナビゲーション、OTAアップデートの安定性を高め、電気自動車やコネクテッドカーの通信基盤を強化します。また、2030年以降に一部地域で予定される4G段階的廃止への対応をうたい、従来型5Gより「手頃な代替案」と位置づけます。

マレリは、主要テレマティクスモジュールサプライヤーと連携し、米国のハード・ソフト規制やUSMCA(米・メキシコ・カナダ協定)の域内製造要件への準拠も進めています。4Gサービス終了リスクやコスト負担に直面する自動車メーカーにとって、RedCapが「フル5Gまでは不要な車両」向けの現実的な選択肢となるかが焦点です。今後は通信事業者の5G整備状況や各国の規制動向が、普及スピードを左右するとみられます。

source: PR TIMES

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