産業向けロボティクスAIを開発するリアルワールド(RLWRLD)は先月18日、マイクロソフトと協業関係を結び、クラウド基盤「Azure」を活用したロボティクスAIモデルの高度化と、アジアを中心とするグローバル市場展開を加速すると明らかにしました。対象分野は製造・物流・小売・ホスピタリティ(ホテルなど)産業で、PoC(概念検証)から商用化までを視野に入れています。
協業内容は、AzureのGPU・CPUクラスターやセキュリティ、API基盤、クラウドストレージを活用し、強化学習・模倣学習・VLA(Vision-Language-Action=画像と言語と動作を統合したAI)モデルの学習規模と速度を拡大することが柱です。リアルワールドは日本・韓国・米国の工場や倉庫などで収集した4D+マルチモーダルデータを元に、特定ロボットに依存しないロボティクス・ファウンデーションモデル(RFM)の開発を進めており、今回の協業でクラウド側の計算資源とセキュリティ面の強化が進む見通しです。
両社はさらに、マイクロソフトの研究部門Microsoft Researchとの連携も検討します。過去の作業履歴を考慮して動作を最適化する「Latent Actionモデリング」や、工場や倉庫といった産業環境に特化したビジョン‐ランゲージモデル(画像と言語を組み合わせて理解するAI)などの研究テーマが候補として挙げられています。具体的な研究範囲は今後の追加合意で固まる予定です。
事業面では、アジア地域の製造・物流・小売・ホテル産業の顧客を対象に、共同PoCプロジェクト、マーケティング、技術カンファレンスでの発表を行い、市場参入のスピードを高めます。リアルワールドが持つ高精度な産業現場データとロボティクスAI技術に、マイクロソフトのグローバル製造業ネットワークとクラウド基盤を組み合わせることで、現場の自動化ニーズに応えるソリューションの開発を狙う構図です。
同社は今後、多様な産業領域とのPoCや商用プロジェクトを広げ、東アジアの産業基盤を強みに、グローバルなPhysical AI(物理世界で動くAI)エコシステムの中核企業への成長を目指すとしています。協業が実際の現場でどの程度のコスト削減や生産性向上をもたらすかはこれからの検証次第ですが、ロボティクスAIの国際競争が一段と激しくなる可能性があります。
【企業情報】
Realworld Co., Ltd.
本社所在地 561 Seolleung-ro, Gangnam-gu, Seoul, Republic of Korea
設立 2024年7月
事業内容 産業向けロボティクス・ファウンデーションモデルの開発
source: PR TIMES
