三重県三重郡朝日町の「三重朝日物流センター」が、生物多様性保全に優れた事業所を表彰する「第4回ABINC(エイビンク)賞」で特別賞を受賞しました。同センターは2023年6月に竣工した延床面積64,130㎡の物流施設で、中部地方の物流施設としては初めてABINC認証を取得しており、その波及効果の大きさと先進性が評価されたかたちです。

評価のポイントは、動物の生息場所への配慮を敷地全体の計画に組み込んだことや、ビオトープ観察路のウッドデッキ下を生き物の通り道として活用する工夫、水循環・物質循環に配慮した設計と詳細なモニタリング計画の水準の高さです。また、地域住民がビオトープの植栽管理やイベントに参加し、自然観察や環境教育プログラムを継続的に行っている点も高く評価されました。

ABINC認証は、企業と生物多様性イニシアチブが策定したガイドラインと「土地利用通信簿」に基づき、生物多様性保全の取り組みを第三者が評価する制度です。同センターでは、周辺の自然環境調査を実施した上で、コナラやヤマザクラなど在来種を中心に植栽を選定。準絶滅危惧種のコチドリの営巣環境として砂や小石を敷いたエリアを整備し、周辺の水田などに生息するメダカやドジョウをビオトープに放流するなど、生態系との共生を図っています。

今後、同センターの事例が、全国の物流施設や大規模開発における生物多様性配慮のモデルケースとして浸透すれば、環境負荷を抑えた物流拠点づくりが一層進むとみられます。一方で、モニタリング結果に基づく長期的な改善や、地域との協働体制をいかに維持・拡大していくかが、今後の課題となりそうです。

【施設概要】

名称 三重朝日物流センター

所在地 三重県三重郡朝日町大字埋縄字川原1

敷地面積 68,620㎡

延床面積 64,130㎡

構造規模 鉄骨造3階建て(2022年7月着工、2023年6月竣工)

source: PR TIMES

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