情報通信機器メーカーのアイタス・ジャパン(東京・中央区)は、既存監視カメラにAI解析機能を追加するエッジデバイス「AI Bridge」に、クマ検知機能を新たに搭載しました。クラウド連携による二重解析により、人的被害につながるクマの検知率は最大99%としており、日本各地で深刻化するクマ被害への対策ツールとして自治体や農業分野での活用を見込んでいます。
AI Bridgeは、国際規格ONVIFに対応したIPカメラやアナログカメラに接続することで、高価なAI搭載カメラを新規導入せずに映像解析を行える装置です。1台で最大8台のカメラ映像を解析でき、カメラごとに異なるアプリケーションを同時に設定可能としています(リソースに制限あり)。
従来からクマ・シカ・イノシシ・ワシなどの大型動物検知に対応していましたが、新機能では本体で検知した映像をクラウド側でもう一度分析し、クマのみを高精度で識別します。検知時にはスマートフォンやPCへスナップショット付きで通知でき、警告灯やスピーカーと連携して即時に威嚇する運用も想定されています。クラウド利用料は別途必要です。
想定利用シーンは、クマ目撃情報が多い地域での自治体防災、小中学校や幼稚園周辺での見守り、公営運動場・公営住宅地などの公共施設、防護柵が届きにくい畑や森林周辺での農作物被害対策などです。侵入検知や転倒検知、ナンバープレート認識、火災・煙検知など60種類以上のアプリケーションも用意し、「見えない危険を、見える安心に」というコンセプトで幅広いリスク対応を図ります。
全国的なクマ出没増加に伴い、現場では住民からの電話通報に頼るケースが多く、位置情報や頭数の誤認が課題とされてきました。AI Bridgeの導入により、客観的な映像データに基づく通報と迅速な避難・誘導が期待されます。一方で、設置コストや通信環境、誤検知時の運用ルール整備など、導入側の検討課題も残ります。
同社は、今後も社会的ニーズに応じたアプリケーションを追加し、防犯から獣害、災害までをカバーする映像AIプラットフォームとして標準化を目指す方針です。クマ検知機能の自治体や農業団体への導入状況や、他の大型動物・危険行動への応用がどこまで進むかが、地域の安全インフラとして普及するかどうかの鍵になりそうです。
【商品情報】
AI Bridge 公式サイト
source: PR TIMES
