環境の熱で充電できる「三次電池」と、それを組み込んだIoT機器に関する発明が、特許第7781384号として登録されました。出願は2021年3月30日付(特願2021-057972)、登録日は2025年11月28日、発行日は同年12月8日で、特許権者は国立大学法人筑波大学と株式会社フォーカスシステムズの共同名義です。
三次電池は、正極と負極の「酸化還元電位」(電極が電子を受け渡す性質)の温度変化の差を利用し、わずかな温度変化から電力を取り出す仕組みの蓄電池です。一般的な充電池(二次電池)が外部電源からの電力で充電されるのに対し、三次電池は周囲の環境熱をエネルギー源として充電される点が大きな特徴です。筑波大学とフォーカスシステムズは2019年から共同研究を行い、相転移物質を利用した高電圧化や、室温付近の熱環境で動作する自立型電源の実証などを段階的に公表してきました。
今回の特許は、この三次電池をIoT機器に組み込み、「無充電」での長期間稼働を視野に入れた技術として位置づけられています。電池交換が難しいインフラ監視センサーや遠隔エリアの見守り機器などで、保守コストの削減とカーボンニュートラルへの貢献が期待されます。一方で、実用化に向けては、発電できる熱量が小さい環境での安定動作や量産コストなど、解決すべき課題も残っているとみられます。今後は特許技術を基盤に、社会インフラやスマートシティ分野での実証実験や事業化の進展が注目されます。
source: PR TIMES
