スマート農業スタートアップのAutoCover株式会社(名古屋市)は、抹茶や玉露などの茶園で行う被覆作業をドローンで自動化する技術について、農林水産省の「スマート農業技術活用促進法」に基づく開発供給実施計画の認定を2025年10月31日に取得しました。同社試算では、従来の手作業と比べ労働時間を約80%削減し、数日かかっていた作業を数時間に短縮できるとしています。
高級茶栽培で欠かせない被覆作業は、黒い遮光資材で茶園全体を覆う重労働であり、特に中山間地の急傾斜では高齢化と相まって転落事故の危険が高いことが課題でした。さらに、資材をピンチで1カ所ずつ固定する工程は機械化が進まず、1戸あたりの栽培面積拡大の障害にもなっていました。短期間に集中的に人手が必要なため、繁忙期の人手不足も深刻化していました。
AutoCoverは、LiDAR(レーザー計測)を搭載した産業用ドローンで茶園を3次元計測し、地形や畝の形状をデジタルツイン(仮想空間の再現)として再構築します。そのデータを基に、急傾斜でも樹木や地形と衝突しない最適飛行ルートを自動生成し、物流ドローンに独自開発のアタッチメントを装着して、上空から被覆資材の自動展開・巻き取りを行う仕組みです。アタッチメントは特許出願中で、危険なエリアでの人力作業を大幅に置き換えることを狙います。
スマート農業技術活用促進法に基づく認定は、国が「農業に特に必要な技術」として開発と普及を後押しする制度で、認定事業者は金融支援や税制優遇などの支援措置を受けられます。今回の認定により、AutoCoverは茶園の被覆資材の自動被覆・除去技術と関連サービスの事業者として位置づけられ、開発スピードや社会実装体制の強化が期待されます。
同社は2026年上半期に愛知県と京都府の茶園で現場実証を開始し、2027年以降に茶園向け自動被覆サービスとして本格展開する計画です。京都府、静岡県、三重県、鹿児島県など主要産地で順次実証とサービス提供を広げる方針で、将来的には他作物の資材被覆や収穫物搬送、圃場管理・測量・データ活用などにも技術応用を進め、中山間地農業を支えるスマート農業プラットフォーム構築を目指すとしています。愛知県の製造業との連携により、地方発技術を軸にした農業支援のエコシステムづくりがどこまで進むかが注目されます。
【サービス情報】
AutoCover株式会社 公式サイト https://auto-cover.meisho-hp.jp/
source: PR TIMES
