福井県坂井市のフィッシュパスと福井大学は、AIとローカル5Gを組み合わせた河川用「人物検知システム」を共同開発し、2025年12月15日に福井県越前市の日野川河川敷で実証実験を行います。時間は14時から16時までで、日野川漁業協同組合前のエリアに可搬型ローカル5G装置や小型計算機を設置し、人物の自動検知性能や通信の安定性を検証します。
日本各地の内水面漁協では、河川清掃やパトロールを担う組合員が減少し、高齢化も進んでいます。遊漁料収入の減少も重なり、監視の目が行き届かない河川が増えることで、生物多様性や水産資源の保全に支障が出る懸念があります。この課題に対し、両者はICTを活用した「河川DX(デジタル変革)」で持続可能な管理体制の構築を目指しています。
実験では、NECネッツエスアイと東京大学が開発した可搬型ローカル5Gシステム「HYPERNOVA」を使用します。これは小型・省電力で、電源を入れるだけで独立した高速・低遅延の通信環境を構築できる点が特徴です。河川敷のように従来は通信インフラ整備が難しかった場所でも、高精細映像をリアルタイムに伝送できます。映像は小型計算機NVIDIA Jetson Nano上で動作するAIモデル「YOLOv8n」により即時解析され、人物だけを自動検知・記録します。検知結果と画像のみに絞って保存することで、監視業務を自動化しながらプライバシーへの配慮も図ります。現地運用は福井大学工学部と大学院の学生が中心となって行い、運用上の課題洗い出しも兼ねます。
本システムは、不法投棄の早期発見や、河川利用者の安全確保に役立つと見込まれます。今後は総務省FORWARD事業の一環として、多段連合学習と呼ばれる分散型AI技術を組み込んだ「河川環境保全プラットフォーム」への発展が計画されています。河川パトロール、ダム放流調整の要請、稚魚放流や漂流物回収など、多様な保全業務を一元的に効率化し、地方の担い手不足が進む中でも、豊かな河川環境を次世代へ引き継ぐデジタルインフラとなるかが注目されます。
【イベント情報】
日野川漁業協同組合 前 河川敷での実証実験
日時:2025年12月15日(月)14:00~16:00
予備日:2025年12月18日(木)同時刻(天候不良時)
場所:福井県越前市松森町33-5-4 付近(日野川漁業協同組合前河川敷)
source: PR TIMES
