ドイツの自動車向け開発ツール大手dSPACEは2025年12月3日、組込みシステム向けサイバーセキュリティ企業dissectoの事業を取得し、開発プロセス全体を対象とする自動化セキュリティテストワークフローを提供すると発表しました。これにより、自動車、農業、医療、製造業などで、設計初期から量産前まで一貫したセキュリティ検証が可能になるとしています。dSPACEグループ全体の従業員数は世界で2,800人超です。

dissectoの中核製品であるHydraVisionは、車両開発向けにスケーラブル(規模を柔軟に拡張可能)なサイバーセキュリティテスト基盤を提供し、探索的テストとテンプレート化された試験シナリオを組み合わせることで、潜在的な脆弱性を早期に洗い出せる点が特徴です。dSPACEはHydraVisionを含む同社技術を既存のシミュレーション・検証ソリューションと統合し、モデルベース開発やHIL(ハードウェア・イン・ザ・ループ)試験と連携させることで、機能安全とサイバーセキュリティを同時に評価できる環境を整える方針です。

買収後もHydraVision、HydraLink、HydraHat、HydraProbeに加え、トレーニングやコンサルティング、ペネトレーションテスト(侵入試験)サービスは継続され、レーゲンスブルク拠点のコンピテンスセンターを通じて既存顧客へのサポートも続行されます。相次ぐ自動車のサイバー攻撃事例や国連規則UN-R155など国際的な規制強化を背景に、車両サイバーセキュリティへの投資は拡大しており、dSPACEは今回の買収を通じて、開発から認証取得までを一体で支援する体制を強化します。今後は自動運転やコネクテッドカー向けに、クラウドやOTA(無線更新)を含む広範な領域での試験自動化への展開が焦点となりそうです。

source: PR TIMES

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