世界の自動車業界エグゼクティブ775人と日本の自動車保有者6,007人を対象とした最新調査で、自動車企業の74%が地政学リスクを受けサプライチェーン戦略を見直していることが明らかになりました。AIなど先端技術には86%が積極投資している一方、「破壊的変化に十分備えている」と答えた企業は20%にとどまり、技術革新への対応力にギャップがある実態も浮き彫りになっています。

調査はKPMGの「第25回グローバル自動車業界調査2025」と、KPMGジャパンによる「第4回日本における消費者調査」を組み合わせたものです。業界側は今後3年間の最大の変化要因として「サステナビリティとサプライチェーン変革」を挙げ、多くの企業が戦略的アライアンスや供給網再構築に動いていることが示されました。

電動化では、日本の消費者が次回購入で検討する動力タイプとしてエンジン車が77%、ハイブリッド車(HEV)が30%と上位を占め、前回調査よりエンジン車志向が強まる一方、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(BEV)の検討意向は大きく減少しました。ただし、BEVの普及を妨げる要因とされてきた「充電インフラ」「購入価格」「航続距離」への不安は縮小しており、物理的な障壁よりも消費者心理や価値認識が課題となりつつあります。

自動運転への期待では、「高齢者・障がい者の移動支援」32%、「自家用車の運転支援」31%、「過疎地の移動支援」27%が上位となり、生活インフラとしての役割が重視されています。一方で、自動配送やロボタクシーへの期待は2割未満にとどまり、サービス利用を具体的に思い描けていない状況です。ただ、ロボタクシーが普及した場合に自家用車を手放すと答えた層が1割程度存在しており、安全性や料金などへの懸念が解消されれば、所有から利用へとシフトする消費者が拡大する可能性があります。

今後は、ソフトウエア定義車(SDV)をめぐり、自動車メーカーとテック企業の主導権争いが続くほか、サイバーセキュリティやデータプライバシーへの懸念も高まる見通しです。企業側は自社開発と外部委託の線引きを明確にしつつ、価格・安全性能を重視する日本ブランドユーザーと、デザインや走行性能を重視する海外ブランドユーザーという多様な嗜好に応えることが、競争優位性の再構築につながるとみられます。

source: PR TIMES

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