Spacechips(英国)は小型衛星向け「AI1トランスポンダ・ボード」に、Vicor(米国)の放射線耐性DC-DCコンバータ群を採用しました。AI1は最大133TOPS(毎秒133兆回)の演算性能を掲げ、電源系では28V DCから0.8Vまでの低電圧・大電流供給が必要になります。両社は高電力密度の電源モジュールでオンボードAI処理を支える構成を整えました。

背景には、5〜10年規模の長期ミッションに向け、衛星側でデータを処理し、解析結果のみを地上に送る需要の増加があります。低軌道(LEO)観測衛星では、特定地域と直接通信(LOS)できる機会が約10分に1回程度とされ、通信帯域の制約を補う狙いです。用途として地球観測やISAM(宇宙空間での保守・組立・製造)、SIGINT(信号情報)、ISR(情報・監視・偵察)などを想定します。

電源ではVicorのFPA(ファクトライズド・パワー・アーキテクチャ)を採用し、BCM(絶縁と28Vへの降圧)、PRM(電圧調整)、VTM(カレントマルチプライヤとしての変換)を組み合わせて28Vを0.8Vへ変換します。電力変換部は二重化され、各系統が100%負荷を担える冗長設計だといいます。今後、衛星の自律処理が進むほど電源の高効率化と小型化が設計競争力となり、耐放射線・高電力密度モジュールの採用が広がる可能性があります。

【関連情報】

Spacechips事例ページ https://www.vicorpower.com/ja-jp/resource-library/case-studies/spacechips

source: PR TIMES

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