国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)は2026年4月29日、重要鉱物の採掘が水不足や環境汚染、健康被害を深刻化させ、貧困層や先住民に負担が偏っているとする報告書を公表しました。報告書は、2024年の世界のリチウム生産量がおよそ24万トンで、同年の生産に推定4,560億リットルの水が使われたと示しました。
報告書によると、推定4,560億リットルはサハラ以南アフリカで約6,200万人分の年間生活用水に相当します。チリ北部のサラール・デ・アタカマでは、リチウム採掘が地域の水使用量の最大65%を消費するとされ、水利用の競合が課題になっています。さらに重要鉱物埋蔵量の約16%が、すでに水使用量が供給量を上回る地域に存在すると指摘しました。
社会・健康面では、エネルギー転換に必要な鉱物の54%が先住民の土地または近接地域に埋蔵されているとし、意思決定への参加や利益配分の公正さが問われるとしました。コンゴ民主共和国の鉱山周辺では皮膚疾患の経験が72%、女性や少女の婦人科系の健康問題は半数以上、子どもの労働はおよそ3割と記載し、被害が地域に集中しているとしています。
UNU-INWEH所長のカーヴェ・マダーニ教授や筆頭著者アブラハム・ヌンボグ博士らは、国際的に法的拘束力を持つデューデリジェンス基準、排水ゼロ化を含む厳格な水・汚染管理、電池や電子機器のリサイクル強化など循環型経済への投資を提言しました。2040年までにリチウム需要は約9倍、コバルトとニッケルは倍増が見込まれる中、供給拡大と人権・水資源保全を両立するガバナンス改革が焦点になりそうです。
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詳細URL: https://unu.edu/inweh/collection/unu-inweh-report-critical-minerals-water-insecurity-and-injustice
